大動脈瘤
大動脈瘤とは
周りの血管よりもコブのように膨らんでいる状態を動脈瘤といいます。血液は心臓から送り出された後、上行大動脈→大動脈弓→下行大動脈と太い血管を通過していきます。この太い血管にできたコブを大動脈瘤といいます。医療機関を受診したときに偶然拍動が触れたり、コブを触れたりといったことで見つかる方も多いです。自分で気が付く場合は、おなかの拍動を体表から感じることがあることで気が付きます。
症状が出るとなると、キリキリした鋭い痛み(切迫破裂)であり、かなり危険な状態です。緊急に医療機関の受診が必要となります。
コブができる場所
胸部大動脈瘤
上行大動脈、弓部大動脈、下行大動脈からなります。5.5cmを超えている場合、そこまで達していなくとも半年で0.5cmを超えるペースで拡大してきた場合、外科的治療の対象となります。
腹部大動脈瘤
50㎜ぐらいの場合、また半年で0.5cmを超えるペースで拡大してきた場合、外科的治療の対象となります。
コブができやすいケース
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大動脈瘤の原因
動脈硬化により大動脈瘤を促進します。
また、糖尿病・高血圧・喫煙・脂質異常症はリスクを高めることになります。
生まれつきのものとしては、マルファン症候群の方(手指や、上肢、下肢が比較的長い)や血圧が高く、血管の蛇行が著明であります。
大動脈瘤の種類
真性
内膜・中膜・外膜に傷が入らず、血管がコブのように拡大しています。
仮性
内膜・中膜・外膜に傷がはいって血液が内膜より外側にある組織で包まれている状態です。これは破裂するリスクを伴なう危険な状態です。
大動脈解離とは大動脈の壁は、内膜・中膜・外膜から成り立っています。 |
大動脈瘤の予防について
降圧剤
薬の種類によらず、収縮期血圧を130mmHg以下にコントロールしていくことが目安となります。
ストレスや便秘を避ける
ストレスは血圧を上昇させる原因になりますので、できるだけ和らげていくことが大切です。
便秘は排便する際の力みが血圧上昇の要素になりますので、できるだけ力まないで程よい硬さの便にコントロールしていくことが重要になります。
食事療法
血圧を落ち着けていくことを第一目標としますので、減塩は大切です。
急激な効果は期待できませんが、長期的には糖尿病・脂質異常症も悪化因子となりますので、食事回数は分け(3食であれば、間食で2回増やす)、1回に摂取するカロリーを抑えていくこと。また、炭水化物のみでエネルギーを摂らず、たんぱく質、野菜などでカロリーをバランスよく摂取していくことが大切です。
運動療法
ストレスを緩和する、また糖尿病・脂質異常症を緩和していくといった意味では効果があります。
ただし動脈瘤の場合、運動中の血圧上昇が血管へのストレスとなりますので、ウォーキングや痛みや張りを感じすぎない範囲でのストレッチなどが許容範囲となります。
ウォーキングも隣にいる方に話しかけながらでも、息切れを感じない程度で行うことが重要となります。
大動脈瘤の検査
CT検査
動脈瘤を評価するための最重要検査となります。
血管の太さ、病変の広がりだけではなく、枝分かれの情報も得られますので、手術前の情報として不可欠な情報が得られます。
検査の流れ血管の拍動を感じたり、しこりを感じたりした際に、超音波検査で血管の太さを計測します。ここまでがクリニックのできる限界となります。最終的には腎臓の障害がない限り、造影剤を使用した検査が必要となります。 |
大動脈瘤の治療
内科治療
血圧を調節します。
外科治療
以前は胸やお腹を切って人工血管を留置しました。
ただしこの方法は、高齢の方や糖尿病や高血圧などリスクの大きい方にとっては、術後のリスクが高いといった面もあります。
そのため入院期間短縮のため、侵襲の少ない治療があります。これをステントグラフト内挿術といいます。
カテーテルを使って、ステントグラフトを動脈瘤になっている血管の内側に留置することで破裂することを予防できる治療となっています。ただし、大切な臓器への血管の枝分かれする部分に動脈瘤ができていると複雑になるので、治療が可能かどうかを症例ごとに検討が必要となります。