心筋梗塞
心筋梗塞とは
心臓の筋肉に酸素を送り届ける冠動脈が閉塞した状態になり、心筋細胞が死んでしまう状態です。
症状は激しい胸痛が特徴的です。締め付けられるような疼痛です。進行すると、意識障害・呼吸困難なども併発してきます。
心筋梗塞の原因は、動脈硬化です。糖尿病・脂質異常症などで、冠動脈の壁に粥腫が形成されます。この粥腫が薄い膜で覆われた状態でいると、破けたときに血栓が急速に形成され、血流を止めてしまいます。20分経過すると、心筋細胞の壊死が始まってしまいます。
心筋梗塞になりやすい人の特徴
やせ型の方にも発生する病気ではありますが、やはり肥満体質の方に起きやすい傾向があります。標準的な体重であっても学生時代痩せていた方は、体としてはメタボリックな状態の方も多く、血液検査をしてみると異常値が出ることもあります。気が付かない間に脂質異常症・糖尿病になっていることもあるので定期的な血液検査は受けておかれたほうがベターかと思われます。
心筋梗塞と喫煙について
主要危険因子ですので控えてください。
心筋梗塞と食事について
動脈硬化を促進してしまう高血圧症、糖尿病、脂質異常症は心筋梗塞の主要危険因子です。そのため、バランスの良い食事は大切でジャンクフード、甘い炭酸飲料の過剰摂取は問題があります。
心筋梗塞と運動について
ストレスを軽減する、生活習慣病を改善させるといった点でプラスになる良い習慣です。
心筋梗塞とストレスについて
ストレスは結果的に喫煙機会の増加・暴飲・暴食・運動不足につながることが多く、悪化因子になることが多いため、十分な睡眠・適度な運動で緩和していくことが大切です。
心筋梗塞の検査
心電図検査
波形の変化でST上昇・Q波の出現・R波の消失など、特徴的な変化があり、早期診断に重要な検査です。
心臓超音波検査
心電図で変化が出現するよりも早く、心臓の壁の運動低下をきたします。そのため、早期診断には大切な検査の一つです。
血液検査
病院では複数の心筋梗塞検査の項目で早期発見を行っていきますが、クリニックではTropTという検査を行います。15分程度で診断が可能です。
心筋シンチグラフィ
心筋梗塞の急性期が過ぎた後、残存している病変の治療効果が上がるか否かの評価のために行うことが多い検査です。
冠動脈CT検査
血圧などが安定していれば行いますが、心筋梗塞の病変を探すというよりは、解離性大動脈瘤など、大血管病変のチェックのために行います。
心筋梗塞の治療
薬物治療
急性期においては血栓を溶解させるウロキナーゼがありますが、合併症の可能性もあり、カテーテル治療の可能な施設への搬送に時間がかかる離島などを除いては、あまり実施されることがなくなってきました。
カテーテルによる治療
心筋梗塞の一番の治療方法です。心筋梗塞は複数箇所で急激な血管閉塞が生じることは稀であり、原因になっている病変は通常1か所です。そのため、最終的にバイパス手術に至ったとしても発作を起こした時の対処は原則1か所の治療になります。
ただし、心不全を起こしてしまっているときは、外科的治療に進むことが困難な場合もあり、心筋梗塞の責任病変以外にも重度の狭窄個所を治療してしまうこともあります。
外科手術
左冠動脈の主幹部病変、3枝病変などは、カテーテル治療でバルーンを広げている間の虚血時間自体がリスクとなるため、外科的手術が望ましいとされています。
ただ、熟練した医師と、体外循環装置が迅速に準備できる施設では、心臓外科手術の準備をする時間よりはるかに短時間で治療できるカテーテル治療で完結することもあります。
当院の治療の流れ胸痛で受診され心筋梗塞の疑いがある場合は、心電図・採血(トロポニンT)・心臓エコーをすべて行い、迅速に検査結果を出します。 |
心筋梗塞の発作について
発症後6時間以内に再開通することがベストです。
胸痛、息苦しさが出現した場合に、医療機関を迅速に受診していただき心電図で診断することが重要となります。 胸痛が持続していたのにしばらくして消失するのは、血管が再開通した可能性もありますが、心筋が死んでしまって神経が感じることができなくなってしまった可能性も十分にあります。
そのため、どんな経過であっても心電図検査を受けていただくことが何よりも重要となります。